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2006年5月 4日 (木)

2度目の満員御礼

 本日(3日)、筒井道隆くんと忍成修吾くんに来ていただいて舞台挨拶を行いました。
 こころより満員御礼申しあげます。
 ありがとうございました。
 声をかけていただいた方の中に、名古屋から来られた方、大阪から来られた方がいらっしゃいました。当初から全国公開できていれば、こんなご苦労をかけなくてもすむのにとこころが痛みます。ほんとうにありがとうございました。

 今日は筒井くんと忍成くんにたくさん話してもらおうと思い、ぼくはおしゃべりを控えました(と思います)。なにせ時間が限られていますから。オーバーすると終電車に間に合わない方が出てきますから。

 で、そこで話したかったことのひとつを、このブログを読んでくださっている方にだけお話ししようと思います。
 交番勤務の巡査・中野(忍成)というキャラクターは原作には出てきません。脚本の段階でぼくが作った人物です。
 じつは中野が交番にいるときのエピソードを入れようと、4つ、話を考えていました。結局、尺(映画の長さ)の問題から4つとも断念せざるを得なかったのですが、いまでもそのうちのせめてひとつは入れたかった、入れるべきではなかったか、と考えているのです。
 そのひとつをお話ししましょう。

 中野が交番に立っていると、20歳そこそこの貧相な女性が訪ねて来て、150円貸してくれという。芝居の稽古で吉祥寺まで行かなければならないがアパートに財布を忘れてきた。今日は重要な稽古でどうしても休むわけにはいかない。行けばほかの劇団員からお金が借りれるから、帰りにはここに寄ってお返しする、と彼女は言います。150円は阿佐ヶ谷駅~吉祥寺駅の片道料金です。
 中野は、彼女はウソを言っていると気がつきます。
 ほんとうは、財布を忘れたのではなく、もともとお金がないのだと。
 しかしそれには触れず、「お金は貸せません」と断ります。
 女性はがっかりし、かといってほかに方法は見あたらず、途方に暮れたままその場に立ちつくします。
 すると中野は「手品をやるから見てくれませんか」といって五百円硬貨を取り出し、右手に握り隠して「どっちにあるでしょう?」と両手を握り拳にして女性の前に出します。
 女性は当然、右手を指さす。が、右手を開くと何もありません。慌てて女性は左手を指さします。しかし左手にも五百円硬貨はありませんでした。
中野「見てくれてありがとう」
 女性は怪訝に立ちつくす。
中野「早く電車に乗らないと」
女性「……?」
 ようやく女性は気がつきます。
 五百円硬貨は彼女のシャツの胸ポケットに入っていました。
女性「帰りに、必ず返しに来ます!」
 中野は微笑んで「あなたのだから返さなくていいですよ。手品はタネも仕掛けもあるんです」と、袖口に隠していた五百円硬貨を出して見せます。
女性「!?」

 というエピソードです。
 これを入れるべきだったか、入れない方が良かったか。
 まだ分からずにいるのです。
 往生際が悪いっすよねえ。

 ともあれ、みなさま、本日はありがとうございました!

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コメント

中野くんのエピソード、是非観てみたかったです。
映画を観ると、中野くんのことをもっと知りたいと思うので。
不破さんも、忍成くんのエピソードも別の機会に観ることができたらな~なんて思ったりします。

投稿: pancopa | 2006年5月 4日 (木) 09時56分

二度目の満員御礼、おめでとうございます!
また、舞台挨拶、ご苦労様でした☆

今回書いて頂いた中野巡査の500円のお話。
最高のシナリオです!
こういう温かいエピソード大好きです!
なんか映画見た後に聞くと、余計に嬉しいエピソードですね!
映画全体にも温かさや人の奥深さを感じましたが、監督のブログなどでしか知りえない本当のその役柄の中身…素直に感動します。
本当、素敵です。
監督が迷うのも分かります*
私は現状でもかなり好きですが、500円エピソードを聞くと、ちょっと見たかった気もしますネ(笑)

投稿: あずぁず | 2006年5月 4日 (木) 13時13分

泣いちゃいました・・・いいですね~!
入れて欲しかったですけど、
「では他のどのシーンをカットして入れるの?」無理ですよね、
映像化された何倍ものシーンを撮って、カットしてカットしてあの作品になっているんでしょうから、
でもブレス・レスを観た人なら、はっきりとその映像見えると思いますよ、私にはみえますもの~。

投稿: カンデインスキー | 2006年5月 4日 (木) 14時31分

あっちにもこっちにも書いてごめんなさい。

私も監督に会って声掛けたかった~~

私は徹と下田さんが中野に差し入れするシーン好きなんです。
その後の、二人の会話も。

その中野のエピソードなんですが、見たい気は
あるんです・・勿論
ただ下田が徹に「お前はホントよくしゃべるよな~」って台詞があったので、そのカットされた
中野君のシーンがあると、この台詞と二人の会話が、生きないんじゃないかな・・と思いました。

やっぱり、中野は寡黙で遠くから女の人を見てるって感じだったので良かったんじゃないかな。。

ごめんなさい・・難しい事よくわからないに。。

投稿: みみ | 2006年5月 4日 (木) 18時30分

○pancopaさん、どうもありがとう。
 中野はぼくの中にもいるので、もっと描きたかった、いやいや今のままがいいのではないか、映画はどこまで考えても答えが出てきません。だから面白いんでしょうけどね。

○あずぁずさん、
 郷志郎という若い俳優さんを連れて観に来ていただきました。ありがとう。資料とDVD、観ましたよ。

○カンディンスキーさん、
 ものを創るのって切り取る作業でもあるのですが、どこをどう切り取るか、ほんと難しいです。ああ、もっと切れのいい頭脳が欲しい。

○みみさん、
 徹と下田の差し入れシーンではたくさん話をさせようと考えていたのですが、書いているうちに、徹の「俺、つき合うから、いっしょに考えよう」に尽きるなと思い、全部やめて、ただ黙って珈琲を飲むことにしました。
 ぼくも中野といっしょに泣きながら撮影しました。

投稿: 渡辺寿 | 2006年5月 5日 (金) 10時31分

満員御礼、おめでとうございます!

作品が尺のために削らなければならない部分が有るというのは少し寂しい気もします…。
しかし、ある制限の中で作り上げなければいけないというのは、それも映画の良さなのでしょうか?

なにはともあれ、大好評おめでとうございます!


投稿: 嶋田豪 | 2006年5月 6日 (土) 05時58分

○嶋田豪さん、どうもどうも。
 舞台挨拶をしながら、嶋田さんが辞退されたおかげで入れたお客さんはどの方だろうと、そんなこと分かりはしないのに、満席のみなさんのお顔を眺めてしまいました。

 映画の尺はテレビの厳しさに比べれば雲泥の差ですが、それでも監督の勘として、このテーマで2時間超えるのは辛いだろう、などと考えます。
 個人的には、映画は短編小説のようでありたいと思っているので1時間45分前後が良いと、これも漠然とですが思っています。
 頭の中で考えたものすべてを100とすると、切って削って10ほどにする。我が身を削ぐように辛いけれど、それをやって初めて作品に力で出てくるように思います。
 では切って削った90は無駄ではないか、と思われるかもしれませんが、その90が見えない力をもたらしてくれているんですね。
 だからできうるかぎりたくさん考え、調べ、頭の中をコンフュージョンさせて、分からなくなって、そこから這い上がってくる。そんな作業を作品ごとにします。およそ効率の悪い仕事ですねえ。諦めていますけどね。

投稿: 渡辺寿 | 2006年5月 6日 (土) 17時07分

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